- Nicholas de Lange, Origen and the Jews: Studies in Jewish-Christian Relations in Third-Century Palestine (University of Cambridge Oriental Publications 25; Cambridge: Cambridge University Press, 1976), pp. 29-37.
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オリゲネスの時代にユダヤ人を表わす言葉は、「イスラエル」、「ユダヤ人(ユダイオイ)」、そして「ヘブライ人(ヘブライオイ)」などさまざまあった。パレスティナのユダヤ人は、しばしば自分たちのことを「イスラエル」と呼び、「ユダヤ人」とは呼ばなかった。逆に、ディアスポラのユダヤ人が自分たちのことを「イスラエル」と呼ぶことは稀だった。オリゲネスが「イスラエル」という言葉を使うのは、聖書のイスラエルの民のことを指すときだけだった。
では「ユダヤ人」と「ヘブライ人」との違いは何か。論文著者は、ヨセフス、フィロン、新約聖書、テルトゥリアヌス、『第四マカベア書』、『ミシュナー』、そして各種碑文などの証拠から、基本的な使用法を次のようにまとめている:
オリゲネスはユダヤ教のセクトにも言及している。パリサイ派については、逐語的な解釈者と見なしている。ヒエロニュムスが言及しているナザレ派については沈黙しているが、エビオン派、エルケサイ派、サマリヤ人についても言及がある。
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では「ユダヤ人」と「ヘブライ人」との違いは何か。論文著者は、ヨセフス、フィロン、新約聖書、テルトゥリアヌス、『第四マカベア書』、『ミシュナー』、そして各種碑文などの証拠から、基本的な使用法を次のようにまとめている:
- 「ヘブライ人」が古代イスラエル人を指すのに対し、「ユダヤ人」は同時代のユダヤ人を指す。
- 「ヘブライ人」が敬称であるのに対し、「ユダヤ人」は中立か敵対的な意味になる。
- 「ヘブライ人」は、特にヘブライ語かアラム語を話すユダヤ人を指し、ギリシア語を話すユダヤ人である「ヘレニスタイ」と対を成している。
こうした用法に対し、オリゲネスは「ヘブライ人」という言葉を文献学的な文脈で用い、「ユダヤ人」という言葉を論争的な文脈で用いているという。オリゲネスは、神学者としてユダヤ人を非難する立場にあったが、学者や聖書解釈者としてはユダヤ人に負っているというジレンマを持っていた。彼の「ヘブライ人」と「ユダヤ人」の用法には、このジレンマが表れているのである。
オリゲネス(やエウセビオス)にとって「ヘブライ人」という言葉が敬称的な意味を持つのは、古代イスラエル人と繋がっているヘブライ人たちが、キリスト教会の霊的な先祖を意味するとも見なされていたからである。言い換えれば、すべての「ヘブライ人」は、キリストより前に生きた者たちも含めて、「キリスト者」として数えられるのである。こうした理解から、「イスラエル」という言葉もまたキリスト者や教会を指すこともある。これに対し、「ユダヤ人」という語には依然として、聖書を逐語的に訳す者たちや割礼をする者たちといった、否定的な意味合いが含まれていた。
オリゲネスが持っている重要な情報としては、ラビ・ユダヤ教の長老制度(patriarchate)がある。ラビ・ユダの肩書である「ナスィー」は、ギリシア語ではエトナルケースあるいはパトリアルケースと訳されている。前者は古いヘレニズム期の用語であり、それがオリゲネスの時代に次第に後者に取って代わり、4世紀以降では完全に後者の訳語が定着した。オリゲネスはサンヘドリンに関しては何ら言及していないが、おそらくラビを指して「賢者(ソフォイ)」という語を用いている。
オリゲネスはユダヤ教のセクトにも言及している。パリサイ派については、逐語的な解釈者と見なしている。ヒエロニュムスが言及しているナザレ派については沈黙しているが、エビオン派、エルケサイ派、サマリヤ人についても言及がある。
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