- Thomas P. Scheck, Origen: Commentary on the Epistle to the Romans, Books 1-5 (The Fathers of the Church 103; Washington, D.C.: The Catholic University of America Press, 2001), 10-19.
Commentary on the Epistle to the Romans (Fathers of the Church Patristic)
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Origen
Catholic Univ of Amer Pr
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ヒエロニュムスは、アンブロシウス、ヨアンネス・クリュソストモスと共に、ルフィヌスをけなしたが、その評価はあまり当てにならない。古代においてすでに、パラディウス、ゲンナディウス、ヨアンネス・カッシアヌス、カッシオドルスらはルフィヌスを極めて肯定的に評価している。
オリゲネス『ロマ書注解』のラテン語訳は、ルフィヌスがアクイレイアかローマにいた406/7年に作成された。この翻訳に着手する前に、すでに『諸原理について』、『詩篇説教』、『創世記説教』、『出エジプト記説教』、『レビ記説教』、『ヨシュア記説教』、『士師記説教』の翻訳は完了していた。ルフィヌスに翻訳を依頼したのはヘラクリウスという人物である。彼は翻訳だけでなく、分量を半分になるように省略することも依頼していた。現存するギリシア語断片とルフィヌスの翻訳がときに一致しないのは、この省略ゆえのことであろう。それゆえに、両者の不一致をもって、翻訳者としてのルフィヌスの信頼性を疑問視することはできない。
序文においてルフィヌスは、オリゲネスの本文が「改竄/中断」されていると不満をもらしている。これは異端者たちが意図的に改竄したということか、それとも単純に写本が失われたためにテクストの継続性が中断したということか。後者の場合、ルフィヌスはその「中断」を埋めるために、オリゲネスの他の著作から失われた部分を埋めることになる。一方で、意図的な改竄という説も否定しきれない。
B.F. Westcottによると、ルフィヌスは『ロマ書注解』の翻訳において、聖書引用のレンマ部分では、自分でラテン語訳を作成せず、古ラテン語訳をそのまま使っているという。Hammond Bammelは、オリゲネスのもともとのテクストではレンマは省略されていたためにそうなったと説明している。確かに、こうすることで翻訳者は労力を抑えることができ、また古ラテン語訳に親しんでいる読者にも親切である。しかし、注解の中身で聖書が引用されているところでは、オリゲネスのギリシア語を訳しているので、レンマとの不一致が出てきている。ルフィヌスが用いた古ラテン語訳は、アクイレイアかローマで流布していたものと考えられる。
Hammond Bammelによると、ルフィヌスとペラギウスは互いに知り合いであり、ペラギウスはルフィヌスの翻訳をさかんに利用していたという。とはいえ、ペラギウスの思想はオリゲネスとは必ずしも相容れない。アウグスティヌスもルフィヌス訳でオリゲネスの著作を読んでいた。ルフィヌスが『ロマ書注解』を訳した理由のひとつは、アウグスティヌスの厳しい人間観と真っ向から対立するようなオリゲネスのロマ書解釈をラテン世界に紹介したかったからであった。
オリゲネス『ロマ書注解』のラテン語訳は、ルフィヌスがアクイレイアかローマにいた406/7年に作成された。この翻訳に着手する前に、すでに『諸原理について』、『詩篇説教』、『創世記説教』、『出エジプト記説教』、『レビ記説教』、『ヨシュア記説教』、『士師記説教』の翻訳は完了していた。ルフィヌスに翻訳を依頼したのはヘラクリウスという人物である。彼は翻訳だけでなく、分量を半分になるように省略することも依頼していた。現存するギリシア語断片とルフィヌスの翻訳がときに一致しないのは、この省略ゆえのことであろう。それゆえに、両者の不一致をもって、翻訳者としてのルフィヌスの信頼性を疑問視することはできない。
序文においてルフィヌスは、オリゲネスの本文が「改竄/中断」されていると不満をもらしている。これは異端者たちが意図的に改竄したということか、それとも単純に写本が失われたためにテクストの継続性が中断したということか。後者の場合、ルフィヌスはその「中断」を埋めるために、オリゲネスの他の著作から失われた部分を埋めることになる。一方で、意図的な改竄という説も否定しきれない。
B.F. Westcottによると、ルフィヌスは『ロマ書注解』の翻訳において、聖書引用のレンマ部分では、自分でラテン語訳を作成せず、古ラテン語訳をそのまま使っているという。Hammond Bammelは、オリゲネスのもともとのテクストではレンマは省略されていたためにそうなったと説明している。確かに、こうすることで翻訳者は労力を抑えることができ、また古ラテン語訳に親しんでいる読者にも親切である。しかし、注解の中身で聖書が引用されているところでは、オリゲネスのギリシア語を訳しているので、レンマとの不一致が出てきている。ルフィヌスが用いた古ラテン語訳は、アクイレイアかローマで流布していたものと考えられる。
Hammond Bammelによると、ルフィヌスとペラギウスは互いに知り合いであり、ペラギウスはルフィヌスの翻訳をさかんに利用していたという。とはいえ、ペラギウスの思想はオリゲネスとは必ずしも相容れない。アウグスティヌスもルフィヌス訳でオリゲネスの著作を読んでいた。ルフィヌスが『ロマ書注解』を訳した理由のひとつは、アウグスティヌスの厳しい人間観と真っ向から対立するようなオリゲネスのロマ書解釈をラテン世界に紹介したかったからであった。
『ロマ書注解』のギリシア語断片は、バシレイオス『聖霊について』、ソクラテス『教会史』、カテーナ、『フィロカリア』、そして1941年に新発見されたトゥーラ・パピルスに保存されている。K.H. Schelkeがギリシア語断片とルフィヌスのラテン語訳を詳細に比較した結果、伝統的な見解――ルフィヌスの翻訳は当てにならないのでギリシア語断片を優先すべき――を疑問視するに至った。そもそもギリシア語断片はオリゲネス本人の手にさかのぼるものではなく、おそらくは省略された抜粋のようなものでしかない。ルフィヌスの翻訳は信用できるものだったのである。それと同時に、ルフィヌスがテクストのある箇所を大部分訳さなかったことは明らかであり、またおそらく非正統的な見解を変えたと考えられる。ルフィヌスの言葉はオリゲネスと比べて、洗練されておらず、技術的にも高くない。