- H.L. Strack and Günter Stemberger, Introduction to the Talmud and Midrash (2nd ed.; Minneapolis: Fortress Press, 1996), pp. 31-44.
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口伝律法のコンセプトは、ラビ・ユダヤ教の基本である。口伝律法によってこそ、成文律法たる聖書は十全に適用される。この口伝律法は書かれることを禁じられていたのだろうか。この問いに対し、フランスの聖書解釈者ラッシーは是と答え、サアディアとマイモニデスは否と答えた。
口伝律法の文書化を禁じる証言としては、テムロット14b、アウグスティヌス、ヨセフスなどが通常挙げられるが、著者たちはこれらの証言は実際には文書化を禁じてはいないと解釈する。むしろ口伝律法の文書化の禁止は実用性のないドグマにすぎず、実際には禁じられていなかったという。事実、3世紀のラビたちはハガダーを書物として持っていた。またベト・シャン谷のレホブのシナゴーグの床には、法的テクストを書いたモザイクが残っている(7世紀)。ただし、こうした文書化された口伝律法は個人の使用に限られていた。
口伝律法の文書化を禁じる証言としては、テムロット14b、アウグスティヌス、ヨセフスなどが通常挙げられるが、著者たちはこれらの証言は実際には文書化を禁じてはいないと解釈する。むしろ口伝律法の文書化の禁止は実用性のないドグマにすぎず、実際には禁じられていなかったという。事実、3世紀のラビたちはハガダーを書物として持っていた。またベト・シャン谷のレホブのシナゴーグの床には、法的テクストを書いたモザイクが残っている(7世紀)。ただし、こうした文書化された口伝律法は個人の使用に限られていた。
口伝律法の文書化に関する研究において、しばしば北欧のサーガ、ホメロスの叙事詩、アフリカの口承文学などとの比較研究がなされてきたが、こうした物語を扱う方法論は、アガダー研究には適用できても、法的議論には適用できない。そこで、言語学的・様式的な特徴、すなわち、統語論のパターン、基準となるフレーズ、言語的律動、共有されたキーワード、テーマ的つながりに注目する研究もなされた。
口伝律法は完全に文字通りの伝達を目的としたものではない。オリエントの人々の驚嘆すべき記憶力は、この文字通りの伝達という幻想を後押ししたが、教えを忘れることのないようにという再三の注意(ヨマ38b、メナホット99b、アボット3.8)は、実際には多くが忘れられていたことを示唆している。それゆえに、文字通りの伝達の程度を大げさに捉えてはならない。口伝律法における、長い秩序だったテクストのユニットは、文書化の仮定で出てきたものであろう。
同じ素材の口伝と成文の伝承が同時にあったことは、状況を複雑にする。『ミシュナー』の編纂者は、伝承を文書化しつつ、一方で弟子のタナイームを訓練し、その弟子たちが今度は暗記するまでそうした伝承を朗唱する。ところが、そうした弟子たちが覚えた伝承を、師である編纂者が文書化の過程で改変したり修正したりするのである。すなわち、テクストには流動性があった。
著者によれば、口伝による伝達は、その場しのぎの手段ではなかった。むしろ、第一に、口伝律法の原理は、口伝という方法においてのみ正しく伝わると考えられていたのであり、第二に、口頭での繰り返しは、そもそも『ミシュナー』というタイトルに現れているほどに重要なものだったのである。また、口伝を強調することは、聖書の正典化と表裏一体である。後代の伝承に対し、聖書を限定するために、前者を口伝として区別したのである。
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