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2018年7月2日月曜日

『4Q創世記注解』のジャンル Brooke, "The Genre of 4Q252"

  • George J. Brooke, "The Genre of 4Q252: From Poetry to Pesher," Dead Sea Discoveries 1 (1994): 160-79.

4Q252の断片の外面的な特徴は次のようなものである:皮でできた6つの断片はおそらくもともと一つの写本だった。主要な断片は、横に最大で20.3センチ、縦に13.0センチである。こうした外面的な特徴から、論文著者は以下の6つの点を指摘する。

第一に、断片1の右側部分で、2.8センチ×1.1センチの皮が、0.4センチ幅の斜めの印と共に変色している。これは何かが上にあったためと考えられる。そのすぐ横にある、欄が完全に残っている部分では、上端から6.5から7.8センチほどのところに、同様の印が残っている。これはだいたい欄の真ん中くらいである。これらの印は、おそらく写本をまとめるための紐がかかっていた部分と考えられる。ここから、断片1の第1欄は、注解全体の最初の欄だと論文著者は述べる。

第二に、第一の観点は他のことからも支持される。通常、紐をつける場合には、皮の端を畳んで補強するのだが、断片1の右側の、上端から5センチのところに、畳まれていたであろう余白部分が見られる。

第三に、断片1の裏側からも、第1欄が最初の欄であることを示している。皮の裏側表面の変色は、最初の6センチ部分に限られている。これは、ここまで巻物が巻かれていたからであり、またそのとき皮の裏側が表に出ていたということである。その表に出ていた裏側は、かなり劣化している。

第四に、写本がきつく巻かれていたことから、表側の文字が巻いたときに重なっていたところ(裏側)に、鏡文字として移り、残っている場合がある。この鏡文字のために、テクストを再現できる場合もあれば、巻物全体の長さを予測できる場合もある。巻物全体の長さが分かることによって、4Q252には7つ目の欄はなかったことも予測される。

第五に、第1欄と第2欄、第2欄と第3欄、第3欄と第4欄、第5欄と第6欄の行間が、それぞれ同一の皮に残されていることから、この巻物は6欄が一緒に書かれていたことが分かる。

第六に、断片の最初の部分が残っているので、この巻物には題名が付されていなかったことが分かる。

論文著者は、さらに4Q252のテクストを詳細に分析した結果、これを『4Q創世記注解』とシンプルに呼ぶことにした。このテクストは、創世記全体に注解を施そうとするものではなく、選択的である。それに、創世記以外の聖書文書や非聖書文書からの引用もある。それにもかかわらず、創世記のシークエンスからは逸脱しない。この点で、『4Q創世記注解』はパラフレーズとは言えない。なぜなら、パラフレーズはシークエンスを必ずしも遵守しないからである。このように、創世記は、注解の構造に、制限を加えるような影響を及ぼしている。

4Q252の個々の引用章句は、独特の性質を持っている。あるときは年代記、またあるときは物語、さらには祝福や呪いまで見出される。いわば、詩歌からぺシェルまで揃っているのである。

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