2017年2月24日金曜日

新しい歴史学による死海文書読解 Grossman, Reading for History in the Damascus Document

  • Maxine L. Grossman, Reading for History in the Damascus Document: A Methodological Study (STDJ 45; Leiden: Brill, 2002).
Reading for History in the Damascus Document: A Methodological Study (Studies on the Texts of the Desert of Judah)Reading for History in the Damascus Document: A Methodological Study (Studies on the Texts of the Desert of Judah)
Maxine L. Grossman

Society of Biblical Literature 2009-04-07
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本書は、現代的な文芸批評の方法論を用いることで、クムランのセクト的文書である『ダマスコ文書』などを検証したものである。死海文書のセクト的文書は、当初は、さまざまなテクストを著したクムラン居住者である教師によって率いられた単一の共同体の姿を描いているのだと考えられていたが、実際にはより複雑な文学的な作品であって、聖書テクストと同様に疑ってかからなければならないことが明らかになってきた。

そこで著者は、脱構築、読者応答批評、間テクスト性、社会科学的洞察、基盤文書の研究といった、現代的な文芸批評の方法論を採用した上で、それを「新しい歴史学(new historiography)」と呼んだ。この方法論の先行者としては、Philip Daviesのようなごく限られた研究者が挙げられる。異なった読者を想定したり異なったジャンルの文書として読んだりすることで、複数の読解をする方法論は、特に『律法儀礼遵守論(4QMMT)』に用いられている。また『ダマスコ文書』に関して、著者はジェンダー論を経由した女性の役割を論じたり、同書がツァドク派の手によるものである可能性を指摘している。

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