2017年2月28日火曜日

『共同体の規則』の再解釈 Schofield, From Qumran to the Yahad

  • Alison Schofield, From Qumran to the Yahad: A New Paradigm of Textual Development for the Community Rule (Studies on the Texts of the Desert of Judah 77; Leiden: Brill, 2009).
本書は、『共同体の規則』の第一洞窟からの写本(1QS)と第四洞窟からの諸写本を検証することで、同書に新鮮な再解釈を施そうとしたものである。そこで語られている「ヤハド」とクムラン共同体とを簡単に同一視してよいのかという疑問は、すでにJohn J. Collins, Eyal Regev, Torleif Elgvinらによって提出されているが、著者はこの点について、『共同体の規則』の異読からアプローチしようとした。

著者は『共同体の規則』の中で語られている「ヤハド」のアイデンティティを明らかにするために、人類学やRobert Redfieldの学説を参考に、「放射的・対話的(radial-dialogic)」モデルを適用している。こうしたモデルの活用によって共同体の発展を検証すると、ヤハドは、社会から自らを区別した者たちによる、階層的に構築された運動であると言える。

『共同体の規則』のテクストについて、長い版である1QSと、短い版である第四洞窟の写本が存在する。古文書学的・科学的には1QSの写本の方が古いが、内容的には第四洞窟の写本の方が古いと考えられている。これらの関係性について、長い版である1QSの方が古く、第四洞窟の写本はこれに由来するものだと説明する場合(P. Alexander)と、第四洞窟の写本の方が古く、1QSは発展の最終段階を示していると説明する場合(S. Metso)とがある。著者は、核となる共通の伝承(おそらくエルサレムにあった)が初期の段階で広まったのであり、1QSや第四洞窟の写本はそれぞれ独立に発展したのだと主張している。

著者は、結論として、ヤハドの最初のヒエラルキー上の中心地はエルサレムであったが、運動が次第に神殿抜きの共同体としてのかたちを整えていくに従って、クムランへと移動したのだと述べている。

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