2017年2月14日火曜日

英語で読めるエルサレム学派のラビ文学研究 Brody, Mishnah and Tosefta Studies

  • Robert Brody, Mishnah and Tosefta Studies (Jerusalem: The Hebrew University Magnes Press, 2014).
Mishna and Tosefta StudiesMishna and Tosefta Studies
Robert Brody

Magnes Press,Israel 2014-08-01
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エルサレム学派と呼ばれる一連のラビ文学研究者たち(J.N. Epstein, Saul Lieberman, Israel Francus, Abraham Goldberg, Shamma Friedman)はその代表作のほとんどをヘブライ語で著してきた。それは彼らが米国に拠点を移したあとでも変わらなかった。Jacob Neusnerは、こうした重要な研究が少なくともヨーロッパ言語で書かれてこなかったことを批判している。

そうした中、本書の著者のBrodyは、数少ない英語で書くエルサレム学派のラビ文学研究者である。著者は本書の中で、『ミシュナー』および『トセフタ』研究の分野で支配的な4つのパラダイムについて議論している:

第一に、『ミシュナー』には二種類の版――『バビロニア・タルムード』の影響を受けて『バビロニア・タルムード』に組み込まれて伝わってきた版と、『パレスチナ・タルムード』の影響を受けて独立して伝わってきた版――があるという見解である。Jacob SussmanやDavid Rosenthalは、後者のパレスチナ版の『ミシュナー』の方が権威があるものと見なしてきた。Sussmanはさらに、『ミシュナー』はその成立の段階では口伝テクストであり、タルムードの賢者たちによって改変されてきたのだという、『ミシュナー』の口伝性(orality)を主張した。これに対し、著者は『タルムード』が『ミシュナー』に影響を及ぼしたというモデルでは説明できない例を挙げて、ことはそれほど簡単ではないことを示した。

第二に、Shamma FriedmanやJudith Hauptmanらによって主張されている、『トセフタ』が『ミシュナー』に先行するという見解である。著者は、確かに『トセフタ』がしばしば『ミシュナー』の特定の節に極めて近いテクストを保存していることを認めている。とはいえ、そう考えるのに有効な箇所はそう多くはないとも指摘している。ちなみに、著者はHauptmanの行きすぎた主張に対しては批判的である。

第三に、『トセフタ』の二つの写本は互いに別個のものであるという見解である。これに対し、著者は『トセフタ』のすべての異読は、たった一つの書かれたテクストに遡ると主張する。著者は『トセフタ』を口伝ではなく、書かれたテクストとして分析しているのである。そして異なる読みは、書かれたテクストの伝達の過程で間違って書かれたり修正されたりして生じたというのである。

そして第四に、ラビ文学の校訂版は、最上の写本に依拠する代表方式(diplomatic)で作成されるべきという見解である。著者はこの慣習には口を極めて反対している。彼によれば、ラビ文学の校訂版は、研究者たちの編集を経た復元方式(eclectic)であるべきだという。

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