2014年10月25日土曜日

第四マカバイ記について Schürer, "The Fourth Book of Maccabees"

  • Emil Schürer, The History of the Jewish People in the Age of Jesus Christ (175 B.C.-A.D. 135), Vol. 3, Part 1, revised and edited by Geza Vermes, Fergus Millar and Martin Goodman (London: Bloomsbury, 2014), 588-93.
The History of the Jewish People in the Age of Jesus ChristThe History of the Jewish People in the Age of Jesus Christ
Emil Schnrer Fergus Millar

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第四マカバイ記は、ユダヤ教を哲学として描こうとしている。四マカ著者の目的は、対象読者(あるいは聴者である)ユダヤ人の宗教的教化であったが、いわゆる説教ではなく哲学的な提題を用いてそれをしようとしている。その主張は、宗教的な理性の教えに従いさえすれば、敬虔な生活を送ることは難しいことではないというものである。なぜならば、そうした理性は情念を支配できるからである。こうした内容ゆえに、しばしばこの書は『理性の支配について』(エウセビオス『教会史』3.10.6)と呼ばれることもある。

四マカ著者はそうした哲学を裏打ちする具体例として、殉教者たちの事跡を持ち出している。彼の情報源は、第二マカバイ記と、それよりも詳細が描かれていたキレネのヤソンの著作(現存しない)だったと考えられる。二マカと四マカには記述に違いが見られ、その理由を四マカがヤソンの著作に依拠したからと考えることも可能だが、むしろ両著者の目的やジャンルの違いがそうした結果を生んだと考える方が妥当だろう。

四マカの哲学的背景は、中期プラトン主義および中期ストア派といえる。しかしより根本的なアイデアはユダヤ教である。というのも、彼が情念を支配する決め手として描く理性は、通常のギリシア哲学における理性ではなく、律法に従うことによって得られる宗教的理性(ホ・エウセベース・ロギスモス)である。つまり四マカ著者はギリシアの修辞的な記述法の中で、同時代の哲学的なアイデアを用いていたにすぎないのである。彼のユダヤ教由来の独特な見解は二つある。第一は、天上における不死性である。これはあくまで天上における永遠の生のことを指しているのであって、パリサイ派的な肉体的な復活とは異なる。第二は、義人の殉教による人々の贖罪である。

四マカはしばしばヨセフスに帰されるが、それはエウセビオスとヒエロニュムスによるものである。書かれた場所は不明である。書かれた時期については、一世紀中頃が有力で、少なくとも70年より以前と考えられる。写本としては、シナイ写本、アレクサンドリア写本などのギリシア語聖書写本に収録されたものと、ヨセフスの著作の写本に収録されたものとがあるが、前者の方が信頼性が高い。

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