2014年11月21日金曜日

セルウィウスによる『アエネーイス』注解 Stansbury, Servius' Commentary

  • Mark Stansbury, "Introduction," in Christopher M. McDonough, Richard E. Prior and Mark Stansbury, Servius' Commentary on Book Four of Virgil's Aeneid (Wauconda, IL: Bolchazy-Carducci Publishers, 2004), pp. xi-xxiii.
Servius' Commentary on Book Four of Virgil's AeneidServius' Commentary on Book Four of Virgil's Aeneid
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ウェルギリウス『アエネーイス』の注解を残したセルウィウスは、ある文学作品を注解するためには、以下の要素を吟味する必要があると述べている。1)詩人の生涯、2)作品の題名、3)詩の特徴、4)著者の意図、5)書物の冊数、6)書物の順番、7)注解。このイントロも、セルウィウス自身によるこの主張に沿って書かれている。

生涯。マウルス・セルウィウス・ホノラトゥスはシチリア出身で、四世紀後半から五世紀前半にかけてローマで教えた文献学者(grammaticus)であった。彼は四世紀のローマの文献学者アエリウス・ドナトゥスを引用しており、一方で五―六世紀のコンスタンティノポリスの文献学者プリスキアヌスによって引用されている。当時の教育では、まず文法学者(litterator)のもとで読み書きを習い、文献学者(grammaticus)のもとで言語の正しいシンタックスと作品の解釈(ennaratio)を学び、そして修辞学者(rhetor)のもとで弁論の仕方を学んだ。セルウィウスの作品として知られているのは、ウェルギリウス作品の『注解』、アエリウス・ドナトゥス『技法(Artes)』の注解、『語末について(De finalibus)』、『百の韻律について(De centum metris)』、『ホラーティウスの韻律について(De metris Horatii)』がある。

題名。ウェルギリウス注解のタイトルとしては、commentum, commentarius, commentariumとされる場合と、expositio, explanatioとされる場合とがある。

作品の特徴。ウェルギリウス注解は『アエネーイス』、『農耕詩』、『牧歌』をカバーしている。セルウィウスは、現存しないアエリウス・ドナトゥスの注解をかなり参照しているとされる。セルウィウス注解は、二つのバージョン、すなわち九世紀以降の写本が残る「S(Servius)」と、1600年に人文学者ピエール・ダニエルが校訂した「DS(Servius Danielis)」が残っている。前者が相反するさまざまな解釈を列挙しているのに対し、後者はそのS版にさまざまなスコリアを混ぜて一貫性を持たせたものである。ただし、セルウィウス当時の注解の特徴は、注解者自身の意見を述べるのではなく、さまざまな注解者の解釈を挙げて可能性を示唆するのみに留めることで、読者に決定を委ねるというものだった(ヒエロニュムス『ルフィヌス駁論』1)。こうした文献学者の美徳は、「控えめさ(verecundia)」と「入念さ(diligentia)」という二つの言葉で表現されていた。

作者の意図。セルウィウスは、現代の注解者のように、細部から全体図まで見取り図を広げていくといったことはせず、ひたすら細部に拘った。これは、当時の注解のスタイルがそうだったからというよりは、セルウィウス自身のスタイルだった。同時代の注解者であるティベリウス・クラウディウス・ドナトゥスの『ウェルギリウス作品の解釈(Interpretationes Vergilianae)』と比較すると、セルウィルスの特徴がよく見えてくる。ドナトゥスは、『アエネーイス』を修辞学における称賛詩(genus laudatiuum)として位置づけることで、その解釈もまた文献学者ではなく弁論家によってなされるべきと考えた。そのため、ドナトゥスの注解は、原文で描かれている出来事を要約し、人物の動機を描写し、それから原文を引用するというスタイルを取った。一方でセルウィウスは語や短いフレーズに対する簡潔な説明を繋げていった。

書物の冊数と順番。セルウィウスの『アエネーイス』注解は、『アエネーイス』12巻に沿って12冊ある。彼はその中で、ウェルギリウス自身の詩のほかに、ホラーティウス、ユウェナーリス、ルーカーヌス、テレンティウスの詩を5回以上引用している。ただし、セルウィウスが何らかの比較をする場合、これらの作家たちとウェルギリウスとを比較することよりも、むしろ『アエネーイス』における別の節との比較、あるいはウェルギリウスの他の作品群との比較の方を重要視した。

さらなる参考文献。
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