2015年1月25日日曜日

クムラン共同体を超えて Collins, Beyond the Qumran Community, Introduction

  • John J. Collins, Beyond the Qumran Community: The Sectarian Movement of the Dead Sea Scrolls (Grand Rapids, Michigan: Eerdmans, 2010), pp. 1-11.
Beyond the Qumran Community: The Sectarian Movement of the Dead Sea ScrollsBeyond the Qumran Community: The Sectarian Movement of the Dead Sea Scrolls
John J. Collins

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本書は死海文書におけるいわゆる宗派的巻物から、クムラン共同体の姿を抽出しようとする試みである。しかし、ここで言う「クムラン共同体」という表現には問題がある。なぜならば、『共同体の規則(セレク・ハヤハド)』(1QS)の描写からは、複数の共同体が予測されるからである。さらに、クムランから出土した共同体の文書としては、他にも『ダマスコ文書』(CD)があり、両者には共通点も見られるが、大きな差異も認められるからである。一般的には、『ダマスコ文書』が既婚のエッセネ派のための規則であるのに対し、『共同体の規則』はクムランに住んでいた独身の男性の共同体のための規則であると説明されている。著者は、『ダマスコ文書』の方がより古く、元来の共同体規則を反映しており、そこから『共同体の規則』が派生してきたと考えている。

著者は両文書で描かれている共同体を、「セクト」と表現する。すなわち、他の大きな共同体に対する「差異」「敵視」「孤立」を特徴とするグループである。このセクトは、祭司の継承に関する議論を発端として分離したと一般的には説明される。しかし、クムランから出土した別の文書である『律法儀礼遵守論(ミクツァット・マアセ・ハトーラー)』(4QMMT)には、宗教法ハラハーの解釈や暦法に関する議論は見られるが、祭司の継承問題は見られない。ゆえに著者は、クムランのセクト運動は祭司の継承問題とは無関係だと考える。さらには、死海文書から知られるようなセクト運動は、単純にクムラン共同体のものと同一視することはできないとも述べる。本書における著者の目的は、死海文書に描かれた共同体の本姓を描き出すことである。

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