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2015年10月16日金曜日

ストラボン『地理誌』16.2.35-37

Greek and Latin Authors on Jews and Judaism: From Herodotus to Plutarch (Fontes Ad Res Judaicas Spectantes)Greek and Latin Authors on Jews and Judaism: From Herodotus to Plutarch (Fontes Ad Res Judaicas Spectantes)
Menahem Stern

Israel Academy of Sciences and Humanities 1974-12-31
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ストラボン『地理誌』16.2.35-37におけるユダヤ民族の描写のまとめと考察。中期ストア派のポセイドニオスに帰される部分。

モーセはエジプトの祭司の一人。下エジプトを治めていたが、当地の状態に不満足のために、神的存在を崇拝する民と共にユダヤへと移った。エルサレムへの移住においては、軍隊による征服は行われなかった。うらやむような土地ではなく、岩場にすぎなかったから。周りは不毛の土地。ギリシアの植民地化の方法に則っている。ユダヤ教の脱民族主義化

ユダヤ人は、動物を神とするエジプト人、人間の形をした神を敬うギリシア人とは違う神を信じている。神は人間や自然のすべてを「取り囲む=浸透する」唯一の存在である。それゆえに像なき神を崇拝しなければならない。神を哲学的に概念化している。

夢見のいい者は聖域の中で寝る。上サム3:3などに見られるincubationの考え方。神殿で寝て神の摂理や啓示を得る。儀式上の清浄を倫理的な清浄と同一視する。礼拝や儀式の描写はシンプル。ユダヤ法の儀式的な要素を排除

モーセは普通ではありえないほどの正しい政府を組織した。モーセの後継者たちは、正しくふるまい、神への敬虔さを持っていた(人間の正しい政治と神への敬虔さの二大徳)。

後代になると、迷信にとらわれた者たちが祭司となり、また暴君が祭司となった。迷信にとらわれた者たちは、肉食を断ち(豚とは限らない)、割礼および切断(女性器も?)を行い、他のこと(安息日?)も遵守した。一方で、暴君たちは盗賊となり、自分の国や近隣諸国を襲ったり、他の君主たちと結託してシリアやフェニキアを征服した。迷信者たちと暴君たちは二大徳の裏面。

ギリシア的な枠組みを用いて、それに抵触するハラハ―的な要素を拒否している。

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