2011年9月25日日曜日

近刊:Michael Graves, Jerome’s Commentary on Jeremiah

2012年の3月にヒエロニュムスの『エレミヤ書注解』の英訳が出るようです。訳者はウィートン・カレッジのMichael Gravesです。


  • M. Graves (trans.), Jerome's Commentary on Jeremiah (Westmont, Illinois: InterVarsity Press, forthcoming).

Commentary on Jeremiah (Ancient Christian Texts)Commentary on Jeremiah (Ancient Christian Texts)
Jerome Jerome Christopher A. Hall

IVP Academic 2012-03
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Gravesはヒブル・ユニオン・カレッジのAdam Kamesarのもとで学び、ヒエロニュムスの『エレミヤ書注解』に関する博士論文で2006年にPh.D.を取得しています。この博論はBrillから2007年に出版されています。


  • M. Graves, Jerome's Hebrew Philology: A Study Based on His Commentary on Jeremiah (Leiden: Brill, 2007).

Jerome's Hebrew Philology: A Study Based on His Commentary on Jeremiah (Vigiliae Christianae, Supplements)Jerome's Hebrew Philology: A Study Based on His Commentary on Jeremiah (Vigiliae Christianae, Supplements)
Michael Graves

Brill Academic Pub 2007-09-24
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この博論は、近年出たヒエロニュムス関連の研究書の中でも間違いなく最高のもののうちのひとつではないでしょうか。ヒエロニュムス研究は、たとえばアウグスティヌス研究などと異なり、哲学的な主題を扱うことはほとんどなく(なぜならそういう類の著作を残していないので)、もっぱら彼の聖書翻訳および聖書解釈における文献学的な問題が俎上に挙げられることになります。中でもホットな話題が、「ヒエロニュムスはまともにヘブライ語ができたのか?」というミもフタもないもので、なんとなればこれはルネサンス期の人文主義者たちから続く話題でもあります。Gravesはこの問題を解決するにあたり、ヒエロニュムスの『エレミヤ書注解』を取り上げました。というのも、時代によって差があるヒエロニュムスのヘブライ語能力を判断するためには、彼の最終的な実力を見る必要があり、それには彼の絶筆となった同書が最適だと考えたわけです。実に目の付け所がいいですね。とにかく、そのGravesによってヒエロニュムスの『エレミヤ書注解』 が英訳されるわけですから、まさに最適の訳者を得たといっていいでしょう。

ちなみにこのInterVarsity Pressという出版社は、キリスト教系の書籍を専門に扱う出版社で、私もときどきAncient Christian Commentary on Scripture (ACCS)のシリーズを参照しています。これは、ユダヤ教でいえばミクラオット・グドロットのように、さまざまな教父の聖書解釈を列挙してくれているので、ある聖書箇所にどのような解釈があるかを手早く確認するには役に立つシリーズです(ただし英訳だけで原文は載せてくれてないです)。

ヒエロニュムスの『エレミヤ書注解』はAncient Christian Textsというシリーズの一冊として2012年の3月に出版予定です。どのような出来になるか、今から楽しみですね。『エレミヤ書注解』の原文のPatrologia Latina版をこちらに貼っておきますので、本書がでたら対照させてみるといいかもしれません。

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