2014年4月26日土曜日

古代における普通教育 Morgan, "Enkyklios Paideia"

  • Teresa Morgan, “Enkyklios Paideia,” in idem, Literate Education in the Hellenistic and Roman Worlds (Cambridge: Cambridge University Press, 1998), pp. 33-39.
Literate Education in the Hellenistic and Roman Worlds (Cambridge Classical Studies)Literate Education in the Hellenistic and Roman Worlds (Cambridge Classical Studies)
Teresa Morgan

Cambridge University Press 2007-08-27
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古代の教育におけるenkyklios paideiaとは、「公共教育」「普通教育」などを意味する語である。この言葉自体はアリストテレスの著作にも見られるものだが、考察の対象となるのは、前1世紀になってからの言及が主である。なかでもフィロンによる同義語mese paideiaに関する記述は包括的であり、それによると、これは文法学、幾何学、天文学、文学、音楽理論、修辞学、そして論理学からなっている。注目すべきは、哲学はこの中に含まれず、むしろこれらの諸学が哲学への準備となるという理解である。これは偽プルタルコスなどにも共有されている考え方である。

さらなる包括的な議論としては、クインティリアヌスによるものがある。彼はenkyklios paideiaをorbis doctrinaeと直訳した上で、それが読み書き、文法学、文学、幾何学、天文学、そして音楽と論理の原理から構成されるとしている。クインティリアヌスの特徴としては、哲学のみならず、修辞学をもまた諸学から切り離したことが挙げられる。というのも、彼は修辞学こそが諸学を修める目的だと考えていたからである。またもうひとつの特徴として、音楽を楽器演奏のような実務的側面と、理論的側面とに分け、後者のみが諸学に分類されるとしたことがある。

クインティリアヌスによるorbis doctrinaeという訳語はラテン世界ではあまり定着せず、institutio, education, studia, litteraeなどと呼ばれたあと、セネカによってリベラル・アーツと名づけられた。セネカは文法学、文学、幾何学、音楽、天文学などをこの名で呼んだ。中世になると分類が整理され、最終的には読み書き、文法学、文学、幾何学、天文学そして音楽が残った。これに修辞学と論理学とが加わるのが通常である。しかし、哲学や体育などは入らない。

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