2011年7月27日水曜日

出村みや子『聖書解釈者オリゲネスとアレクサンドリア文献学』

東北学院大学の出村みや子氏の『聖書解釈者オリゲネスとアレクサンドリア文献学』(知泉書館、2011年)を読んでいます。

聖書解釈者オリゲネスとアレクサンドリア文献学―復活論争を中心として聖書解釈者オリゲネスとアレクサンドリア文献学―復活論争を中心として
出村 みや子

知泉書館 2011-06
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「あとがき」によりますと、本書は2009年に東京大学に提出された博士論文をもとにした一冊のようで、目次は以下のようになっています。

序論
第1章 オリゲネスとアレクサンドリア文献学
第2章 オリゲネスの復活理解とギリシア思想
第3章 オリゲネスと初期キリスト教の復活理解
第4章 オリゲネスの復活理解と反グノーシス主義論争
第5章 オリゲネスの聖書解釈とユダヤ教
第6章 オリゲネス神学が異端とみなされた経緯
結論

序論によると、「本書で筆者は、オリゲネスの神学活動の背景としてアレクサンドリアの多元主義的状況の重要性を指摘し、オリゲネスがギリシア思想、グノーシス主義、ユダヤ教との間で交わした論争を新たな視点から考察することを試みた」(15頁)とのことです。そして、エピファニオスによるオリゲネス批判(これによってのちにオリゲネスは異端宣告を下されることになる)の中心的な議論となる「復活論」と「アレゴリー解釈」について、具体例を挙げながら検討しておられます。しかも、ともすれば形而上学的な議論に陥りがちな教父学の文脈を超えて、「社会史的視点」を導入することで、「彼の復活論が同時代の様々な思想的要請のもとにダイナミックに形成されたこと、さらにその後のキリスト教会をめぐるローマ帝国の状況の変化につれて排斥されるようになった経緯を明らかに」(26頁)しようとしておられます。

私自身の関心としては、第5章のユダヤ教との関わりを論じたところを興味深く読みました。著者のご関心とは離れることなのでしょうが、研究史で挙げられているN. de Lange以前のユダヤ教科学(Wissenschaft des Judentums)の学者たちのオリゲネス研究についても知りたいと思いました。しかしこういうのはやはりオリゲネス研究の流れの中では骨董品的なものになってしまうのかもしれません。

オリゲネスや教父学に関心がある読者だけでなく、著者が挙げる3つの観点(ギリシア思想、グノーシス主義、ユダヤ教)のいずれかにでも興味がある読者にとっても、非常に勉強になる一冊だと思います。

オリゲネス〈4〉―ケルソス駁論〈2〉 (キリスト教教父著作集)オリゲネス〈4〉―ケルソス駁論〈2〉 (キリスト教教父著作集)
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